①ナスルーラ系
この章の学習ポイント
・ナスルーラの5大系統(グレイソヴリン・プリンスリーギフト・ボールドルーラー・レッドゴッド・ネヴァーベンド)がそれぞれどんな馬を輩出してきたかを覚えよう
ナスルーラ直系のシェア率に関して
現在の日本ではそこまでシェアは高くはない。日本で走ってるナスルーラ系は限られているので、しっかり押さえておこう。
1.グレイソヴリン系
最初にナスルーラの血を広めたのはこの馬。フランスで優秀な種牡馬となったフォルティノとゼダーンを輩出し、グレイソヴリン系統を確立したんだ。
ぶっちゃけトニービンしか直系で走ってるのはいないし、トニービン直系もほぼいないので・・。直系以外でどんな馬がグレイソヴリンの血を持っているかは簡単に説明。
こっからは、ほーんという程度で覚える必要はあまりない。
1975年に生まれ「白い稲妻」と呼ばれ人気があったシービークロス(父フォルティノ)の代表産駒がタマモクロス。
あのタマちゃんもグレイソヴリン系だった。そう、冒頭でもあったようにあし毛の馬はグレイソヴリン由来が結構いたりする。
これは誰の血統表かわかるかな?母父の「アンブライドルズソング」の母父にカロの名前がある。こういう風に現代の名馬にもグレイソヴリンの血はしっかり受け継がれているのだ。ナスルーラ最強!
船山「フライトラインは強い!」でお馴染み。母父インディアンチャーリーはカロの直系子孫(Siberian Expressの父がカロ)
アドマイヤコジーン産駒のG1馬「スノードラゴン」の産駒が2022年にデビュー。では現在の産駒成績は・・?
JRA通算0勝(2023年6月時点)頑張れスノードラゴン産駒・・
アドマイヤコジーンは母父として今年不良馬場で激走した全兄弟「トゥラヴェスーラ」「トオヤリトセイト」のドリジャ産駒がいる。どちらも二桁人気で3着激走と血統適正モロ出しの爆走だった。
産駒は現在でも数は少ないながら日本でも走っている。
母父ケンドールの馬としてはコスタボニータが現役
イフェイオンはコスタボニータの姪に辺り、母母父がケンドール。
父レッドゴッド系母父グレイソヴリン系とかいう激レアナスルーラ
トニービンはガッツリいきます。
他にもトンデモ種牡馬が同時にいたのが不運だった。ただそんな中でもビッグレースの多い府中では負けない産駒たちが活躍し、イタリアのすげー安い馬が日本の血統を塗り替えた。そんなお話である。
なんとなく現代でも東京競馬場に強そうなハーツクライ・ドゥラメンテもちゃんとトニービンの血を内包しているのは納得だね。
ハーツクライの母「アイリッシュダンス」も秋天では3番人気(10着)に支持されるなど東京巧者のイメージがあった。(東京では2勝・エプソムC4着)
→ルーラーシップ→キセキ・ダンビュライト(代表産駒か?→賞金2位だぞ)
→ラストグルーヴ→レッドモンレーヴ
ベガ
→アドマイヤボス(ダートG1複数勝利)
この2頭はトニービンの代表牝馬と呼べるが、繁殖としても凄まじい成績を残している。特にエアグルーヴの方は牝系(オークス馬ダイナカールの娘)も大きいだろう。そちらはノーザンダンサーのノーザンテーストの方で書ければ。
母父トニービンの少なくなった現役の活躍馬。タフさが伝わってくる血統だねこりゃ
トニービン直系の話
現存する直系まとめ
→オウケンブルースリ(菊花賞)→オウケンムーン(共同通信杯)
→サンレイポケット(新潟大賞典)
→トーセンジョーダン→シルブロン(3勝クラス)
過去にはミラクルアドマイヤから出たカンパニーがG1連勝して引退するなどあったが、今では寂しい状態。サンレイポケットはもう高齢だし・・トーセンジョーダンの産駒から種牡馬になって活躍する馬が出ることに期待するか・・・。
現役競争馬で芝OPで活躍しているのはおそらくこのシルブロンのみ。重賞でも実績を残しており、なんとかタイトル獲得し種牡馬入りを・・。
グレイソヴリン系まとめ
①グレイソヴリンは芦毛の世界に広め、直系にタマモクロスなどが出た。
②フォルティノ系統ではカロやコジーンが現代でも活躍する一流馬の母系などに内包
③ゼダーン系統はトニービンが現代の日本競馬にも大きな影響を与えている。特にエアグルーブやアイリッシュダンスから血を受け継ぐ馬が最前線で活躍。
④直系はフォルティノ系はスノードラゴン、ゼダーン系はジャンポケ・トーセンジョーダンのみと絶滅の危機に瀕している。
2.プリンスリーギフト系
まずはプリンスリーギフトって誰?ということで大百科から拝借していく。
長距離ちんたらレースから短距離路線拡大&レースの距離短縮がプリンスリーギフト系統のスピードにドはまり。
ちなみにネヴァーセイダイは同じナスルーラ系の種牡馬で、スタミナ競馬全盛期の60年代~70年代の日本の競馬にドはまりして、同じように直仔を輸入。ただそれこそプリンスリーギフト系をはじめとするスピード競馬についていけず衰退。プリンスリーギフト系の代表「トウショウボーイ」のライバルであったテンポイントはネヴァーセイダイ直系だったが事故により現役中に亡くなってしまった・・。
血統の歴史には残らないが、日本の競馬の歴史には大きな足跡を残したテンポイントのことは箸休め程度に読んでおくといいだろう。
プリンスリーギフトのお話の続き。まあだいたいこれを読んでもらえればどんな感じの父系かわかったと思いますねえ。
改めてざっと読んでもらうといいでしょう。
サクラユタカオーは「栗毛のテスコボーイは走らない」というジンクスを打ち破り、秋天を超レコードで圧勝したスピード馬。
先ほどのネヴァーセイダイが母父なのでナスルーラの3×4を持っていた。
サクラユタカオー産駒。先述の通り、母父ノーザンテーストと相性が良かったのが、種牡馬として活躍できた理由の1つでもある。安田記念を制したエアジハードは母父ロイヤルスキーはボールドルーラー系でナスルーラのクロスだった。
母父バクシンオーはともに道悪の高松宮記念を激走したファストフォース・キルロード(ともにロードカナロア)函館スプリントを勝ったビアンフェなど。
サクラバクシンオー産駒成績
→グランプリボス(朝日杯・NHKマイル)→モズナガレボシ(小倉記念)
→ビッグアーサー(高松宮記念)→トウシンマカオ(京成杯)ブトンドール(函館2歳)
ビッグアーサーはサンデーの血を持っていないが、トウシンマカオ・ブトンドールはいずれも母父サンデー系。今後はそのような配合がよく走るかもしれない。
ビッグアーサーの特徴解説
ビッグアーサーが買い時になりやすいのは、古馬混合戦でかつ近走先行経験のある馬。じゃあどうしてそうなるのかを血統構成から考えていく。
ビッグアーサー産駒は全体で見ても勝ち上がり率が非常に低い部類に当たる。ブトンドールが2歳重賞を勝っているため早熟スピード配合みたいなイメージで2歳戦など過剰に人気している印象(おはビッグシーザー・ビッグドリーム)ではなぜ若駒戦は向かないのかの解説。
サクラバクシンオー=引き出し型の種牡馬。つまり母型の血をより強く引き出す。ビッグアーサー自体にはあまりサクラバクシンオーのスピードというのはあまり伝わっていない。ビッグアーサーは母系のサドラーズウェルズの血の影響を受けている。何故なら母父であるキングマンボも引き出し型であり、サドラーズウェルズは個性を主張する種馬であるから。
キャリアを重ねて強くなるサドラーズウェルズ系の代表馬ジャンダルム。
勝率が3倍以上。1200未勝利戦で4戦以上しているビッグアーサー産駒は単狙い!
切れ味よりも馬力勝負なので、先行できる馬でないと厳しい、ということになる。
ビッグアーサー産駒のポイント
①父バクシンオーのスピードより、主張型のサドラーズウェルズの血の影響を受け継ぐ産駒が出やすい。
②なので勝ち上がりに時間を要しやすい使って良くなる型が多い。
③馬力を生かす走りになりやすいため、先行できる馬が狙い目。
④よって古馬混合の1200mで近走先行できている馬の成績が良い。
以下、「Mの法則×血統ビーム」より抜粋。まずMの法則について解説。
プリンスリーギフト系まとめ
①欧州では単なるスプリンターで低評価。ただ日本にテスコボーイが輸入され、そのスピード能力がスタミナ志向からスピード重視に変革していた日本の競馬にマッチ。
②テスコボーイ→サクラユタカオー→サクラバクシンオー→ビッグアーサーは現状活躍している競走馬の中では最も長く続いているサイアーラインと言える。
③母父としてキタサンブラックに内包、またロードカナロアとのニックス?もあるし今後も一定の存在感はあるか
④直系はビッグアーサー産駒がほとんどで、産駒が大きいところを獲れるかどうかが、貴重なサイアーラインの運命を担っている。
3.ボールドルーラー系
3頭目はダートで活躍し、アメリカ競馬を変貌させたボールドルーラーを学ぶ。
母父ディスカヴァリーはネイティブダンサーと同じなんだね。
とりあえず激熱メンバーとしのぎを削ったそうな。
映画になっちゃうくらいのアメリカの伝説的名馬「セクレタリアト」などを輩出。ただしセクレタリアトの直系は繁栄せず。ただ後述するエーピーインディの母父としてその血を残すことに。
ボールドルーラー系を発展させた馬を順に紹介。まずはシアトルスルー。米で三冠馬となった。北米リーディングサイアーとなり「エーピーインディ」を輩出する。
父シアトルスルー母父セクレタリアトという全身ボールドルーラー血統のエーピーインディは、複数の後継種牡馬を輩出。以下まとめ
エーピーインディ→プルピッド→タピット→フライトラインというサイアーライン。
日本でのタピット産駒 テスタマッタ(フェブラリーS)韓国で種牡馬入り
ラニ(UAEダービー)→リメイク(カペラS)
タピットフライ→母父としてグランアレグリア
プルピット→パイロの代表産駒→メイショウハリオ・ミューチャリー・ケイアイパープル・デルマルーヴル・ミヤギザオウなど。
パイロの買いポイント ダート1600~1800m
以前は短距離志向で結果があまり出ていなかった。しかし繁殖牝馬の質が上がったことでエーピーインディ系の本質であるダート中距離かつ叩いて成長する面が見られ、成績も向上した。
オールドトリエステ→シニスターミニスター
主な産駒はテイオウケインズ・ドライスタウト・グランブリッジなど。
いわゆるエーピーインディ系の特徴そのままなイメージ。晩成傾向で先行経験が生きるタイプ。距離は一番結果が出るのは1400m。
エーピーインディ直仔。上記のほかに今年活躍しているプロミストウォリアーなど。
そのほかのエーピーインディ系として、マインシャフト→カジノドライブがおり、産駒のカジノフォンテンがかしわ記念を制している。
血統動画の方はエーピーインディ系の大枠としての特徴を解説しているので頭に入れていこう。
ボールドルーラー系まとめ
①ボールドルーラーはナスルーラ系の中で最初にアメリカのダートで種牡馬として成功
②伝説的名馬のセクレタリアトや米三冠馬シアトルスルーなどが直系から出た。
③シアトルスルーの子エーピーインディが複数の後継種牡馬を輩出した。
④現在のエーピーインディ系はタピット・パイロ・シニスターミニスター・マジェスティックウォリアー・カジノドライブなどが後継種牡馬として活躍している。
⑤使い込んで成長するタイプが多い。パイロやシニスターミニスターは中距離で活躍する馬がでやすい。
⑥アメリカではフライトラインが出るなど現在のナスルーラで最大勢力となっているが、アメリカ以外の地域にはあまり進出していない。
4.レッドゴッド系
レッドゴッドって?←ブラッシンググルームを出した馬。そんだけ?そんだけです。
ブラッシング=赤面 グルーム=花婿 ルームではありません。ワイはブラッシングルームと思ってた時もある。
ブラッシングルームの産駒まとめ
①ナシュワン=1989年英クラシック2冠馬→バゴ
②レインボークエスト=1985年凱旋門賞勝利→サクラローレル・母父アスクビクター
③クリスタルグリッターズ=米国生産馬→マチカネフクキタル
④ラーイ=超名血馬→ノヴェール(後述)ファンタスティックライト(G16勝など)
代表産駒サクラローレルは春天・有馬記念を勝利。ただ産駒はサクラセンチュリーやローマンエンパイアの重賞勝ち馬を出すが、後継種牡馬として成功はせず。
かわいい😊
とりあえずレッドゴッド=ブラッシンググルームを出し、数々の後継種牡馬を輩出した。これからはラーイの後継種牡馬のノヴェールとその子ルアーヴル・ナシュワの子バゴに関して話をしていく。
ブラッシンググルーム→ラーイ→ノヴェール→ルアーヴルというサイアーライン。上記の通りセリフォスの母父として以外今後も見ることはなさそう。
たまたまここをやってる日(宝塚記念)に産駒が出てておったまげ。
なお
これはもうノームコアを出してるクロノジストが凄いとしかね。
菊花賞を7番人気で勝利後以降好走なく障害へ・・・
バゴ産駒に明日はあるのか・・・?
レッドゴッド系まとめ
①レッドゴッドは競走馬としてはほーんって感じだったが、大種牡馬ブラッシンググルームを輩出
②ブラッシンググルームの産駒はナシュワン・レインボークエスト・ラーイなど。特に現代日本で直系産駒が走っているのはナシュワン→バゴのライン
③レッドゴッド直系で日本で走ってる馬は少ないものの、ブラッシンググルームが母父として優秀で、同様にその後継種牡馬も母父として見かけることが今後あるだろう。
5.ネヴァーベンド系
最後にラストクロップであるネヴァーベンドから派生した系統を見ていく。ただあまりメジャーではないので、書籍の内容をサラッと読む程度で済まそう。
イナリワンもミホノブルボンも後継種牡馬を出すことはできなかった・・。
スタニングローズの血統表。バラ軍団のはじまりロゼカラーの父としてシャーリーハイツの名前は見ることになるだろう。
ダービー馬ディープブリランテの母父父としても血統表に名を残す。
ナリタタイシンの父父にリヴァーマン。タイシンも後継は残せず・・。
ネヴァーベンド系まとめ
①現在日本ではネヴァーベンド系種牡馬は皆無
②薔薇一族のはじまりであるロゼカラーの父はシャーリーハイツ。今後も薔薇一族の血統表でこの名前を見ることがあるだろう。
③ぶっちゃけナスルーラの系統の中でも一番マイナーでほとんど見ることはなさそう。